マナビ塾:8月25日(金)みんなで「朗読」を楽しみました!

 8月25日(金)、NPO日本朗読文化協会認定講師をされていた松森世津子さんを講師にお迎えして、「みんなで朗読を楽しむ」をテーマに参加者17名全員が朗読の体験をしました。

    朗読とは? 様々な説があるようですが、文字表現を音声表現に単に変換すると言うただ読み伝えることではなく、「聞き手がイメージや情念を喚起し、心を動かす為の音声表現」だと思っているとのお話が冒頭にありました。  

朗読の形式には、一人で読むもの、大勢で揃って読むもの、数人で割り振って順番に読むもの、更には役割を決めて戯曲などを読むものもあるそうですが、今回は「まずはやってみましょう」との講師のお声掛けで、講師の後について一人ずつ作品を読むことになりました。

講師が私たちのために選んでくださった作品は、童話「ベロ出しチョンマ」で有名な児童文学作家の斉藤隆介(1917-1985)が、大人向け童話として執筆した「寒い母」でした。

<あらすじ>

①若くして夫を亡くした母親が、貧しい中で一生懸命に七人の息子を育てあげた。②そんな母親が、夜になると「寒い」と言うようになり、火を焚いても収まらなかった。③ある晩、母親が深夜家を脱け出し、冷たい川を渡って隣村の老爺に会いに行っていることを長男が偶然知った。③長男は弟たちにそのことを話し、母親も女性であったことに気付かなかった自分達を悔いた。④直ちに川に戻って皆で母親が水に濡れないように飛び石を置いた。④誰が飛び石を置いたか知らない母親は天に感謝し、飛び石を置いてくれた人が亡くなった時には星になるように祈った。⑤時が過ぎ七人の息子たちが年老いて最後の一人が亡くなった時に北の空に七ツ星が現れた。

  先生の後について一章ずつ読み始めた私たちはたどたどしく、感情のこもらない素読の様相でしたが、それでも声は大きく、一語一語ゆっくりはっきりを心がけているのが伝わりました。

ふっと「関西方面のご出身ですね」「東北のご出身ですね」と講師の合いの手に、ビックリ。基準語(標準語)のアクセントのつもりでも、イントネーションに育った地域のアクセントが現れるとのことでした。

ちなみに基準語(標準語)は京都のイントネーション・アクセントが用いられたとのことで更にビックリ。(明治初めの東京は“江戸弁”だったそうです。)

何度目かの朗読になると、各々が作品から受け止めた情景―息子たちの母親を見る温かい目、母親の隣村の老爺との付き合いに対する戸惑いと反省等―を他の参加者に想像してもらう為にどのように表現するかを考えながら読むようになって来たように思いました。と同時に、そこに朗読の面白さがあることにも皆さん気付いて来られたのではないか思いました。

 松森講師より最後に「上手下手は関係なく、様々な作品の内容を自分なりに解釈し、その上で聞き手にその想いをどのように音声で表現するかを大切にして欲しい。特に“間(ま)”に注意して楽しんで欲しい。」とのお話しをして頂きました。

 講師の朗々としたつやのある声、作品の心が伝わる表現に魅了された2時間となりました。有難うございました。

 次回は 9月16日(土)13時30分から「落語のお囃」のテーマで下口耕平講師をお迎えします。何やら面白そうです。奮ってご参加をお待ちしています。

【 マナビ塾世話役 栗原麗子 記 】

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