マナビ塾:11月28日(金)ミツバチの生態・養蜂について学びました。

まだ都心の紅葉が美しく残る11月28日、千葉県の長生村(千葉県の東部に位置する唯一の村)から外房線に乗ってお越しいただいた藤岡晴美さまを講師にお迎えして養蜂に携わって10年目の今、ミツバチの生態・養蜂の内容・蜂蜜の効用などをご講義いただきました。

藤岡講師は、昭和61年に職域営業として当時の本部リーブにご入社、医療法人を担当しその後住宅ローン営業や育成センター勤務等々転勤を繰り返しつつ、税理士開拓に奔走した代理店営業時代に現在地に家を建て爾来ご定年まで房総半島全域千葉県内を駆けずり回られたとのこと。

何故千葉県?は伺いそびれましたが、周りは別荘が何軒かしかない人気のないところ、人と会うこともまれで何匹かの犬や猫達と暮らす定年後の暮らしを考えたとき、生き物が好き!人が好き!自然が好き!なところから、生き物にかかわれ、人と会える、自然に役に立つような仕事はないかと模索。丁度世界中からミツバチがいなくなると騒がれていたおりでもあり、「じゃ蜂蜜だ!」とばかりに養蜂の世界に踏み込まれたそうです。

[1]一つの巣箱からの出発

特に先生がいるわけでもなく、見よう見まねで始められた養蜂は一つの巣箱からでした。と振り返っておられました。巣箱は一つの巣箱の中に8~10枚の巣枠に張った巣脾(スヒ:六角形の巣穴が並んだディスク状のもの)が入っており、その上に重ねていく継箱(貯蜜箱)からなっているのですが、女王バチを巣箱の育児箱(一番下の元箱)から上の継箱に行かせないように育児箱と継箱の間には隔王板(働き蜂は通れるが体格の大きな女王バチは通れない)という養蜂器具が差し込まれているのだそうです。女王バチの産卵範囲を限定し、効率的な採蜜をするためとのことですが、こうしたことも含め、一から始めミツバチの世話、巣脾に溜まる蜜蓋からの蜜搾り等々採蜜まで試行錯誤を繰り返されたとのこと。10年続けてこられたのは仲間に助けられたことも大きいと仰っておいででした。

[2]蜂の種類

写真を拝見すると巣枠内の巣脾には働き蜂がみっしりとひしめき合っています。こんなにいて刺されないのだろうか?と疑問に思いましたが、基本ミツバチは刺さないものの、大きな声や音、大きな身振り、採蜜の翌日などに怒れば刺されますとのこと。講師も顔を刺され腫れあがったことがあるそうですが、刺された時だけ痛いもののその後は腫れて痒くなって終わりですと、なんともさっぱりしたもの。アレルギーがないとはいえ驚くばかりです。

講師によれば世界には約20万種類もの蜂がいて、日本だけでも4000種類。中には5ミリと極小の蜂もいるとのことですが、良く知る蜂の中ではオオスズメバチの体長は2.5~4㎝と大きく、その羽音はすごくて恐怖を感じるそうです。その女王バチはなんと5㎝もありひときわ偉容を誇るとのことでした。

またキイロスズメバチの体長は2~3㎝。オオスズメバチより小ぶりではあるもののともども攻撃的で人間にとって要注意なハチでもありますと。

その他アシナガバチは2~2.6㎝、枯れた木の陰に巣があったことに気が付かず一度5~6匹に膝を刺され腫れが引くまで往生した経験がありますが、刺す蜂の一種でもありますとの説明。

反面日本ミツバチは体長1.2㎝~1.3㎝ 西洋ミツバチは1.3~1.4㎝と小ぶりでいずれも基本刺さない。

このほか針は持つけれどほとんど刺さないクマバチなども身近に飛んでいると。

[3]働き蜂・女王バチ・雄バチのそれぞれの役割

ミツバチには「働き蜂」と「女王バチ」そして「雄バチ」がいます。

「働き蜂」は卵から21日目に孵化して1ケ月とも半年ともいわれる寿命を迎えますが、孵化したばかりの若い蜂を“内勤”、内勤より年を経た蜂を”門番”、そして年を取った蜂を”外勤”と呼ぶそうです。

”内勤”の仕事は、巣房の世話や修理、そして掃除に育児、餌づくり等々、”外勤”の仕事は、花蜜集め、花粉集めと外敵に襲われるリスクの高い外回り、”門番”はというと、外敵から巣への侵入を防ぐ役割を果たすとのこと。

日齢によって産卵以外の巣の活動全般を担っているのが”働き蜂”なのです。

「女王バチ」は、王台と呼ばれる独特な巣房の中で育成され、幼虫からローヤルゼリーを大量に与えられて16日で孵化。その後1~2週間後に交尾飛行に出るとよその巣の数匹の雄バチと交尾。その際、雄バチの生殖器を体内の専用の袋に複数保存し精子を蓄えているとのこと。春から夏にかけて一日で2000個の卵を産む。また有精卵は働き蜂に、無精卵は雄バチに女王バチが産み分けしているそうです。

女王バチの凄さは、ひときわ目立つ巣房に群を抜く体長、5年間ともいわれる寿命の長さがあり、その間産卵し続けます。しかし産卵が少なくなれば分蜂といって別の場所に働き蜂の半分を伴い移っていく。つまり、群れを統率・君臨するのとは違う生殖虫としての役割を担っているのが「女王バチ」なのです。

「雄バチ」は、働き蜂より目が大きく、体もひと回りほど大きいのですが針はありません。巣箱の中の空きスペースの無駄巣といわれるところで何の役割もなく成長し、よその巣の女王蜂と交尾する目的のみに生き、交尾後に死にます。巣が越冬の準備を始めると巣から追われることもあるとのことです。

説明を伺いつつ少し哀しい「雄バチ」に思いをいたします。自然の摂理とはなんとも残酷でもあるのですね。

[4]ミツバチの世話

養蜂に必要な花を求め農薬や汚染のない少ないところを探して巣箱を移動させるのは、かなりの重労働になるそうです。

また、定期的に巣箱の内検として、蓋を取り巣箱を開けて、働き蜂・女王バチ・雄バチの活動状況、産卵状況、貯密の状況を確認しするとともに、巣箱の外から周囲に外敵(スズメバチやツバメ等)が来てないかの観察が必要で、夏の暑さ(簾による日陰作り)や冬の寒さ(北風防止)対策も大切とのことです。

花が咲かない時期などには、給餌(キュウジ)として、砂糖水・ハチミツ・花粉を与える必要があるとのことです。本当に大変です。

[5]密搾り

巣脾に蜜蓋が三分の一程かかる頃に、巣箱から巣脾を抜きミツバチを払ってから、手動の遠心分離器で搾り出しながら濾過し、タンクに保存し瓶に詰めるとのことです。

なにしろミツバチは蜜を集めるのが仕事なので巣が蜜でいっぱいになっても集めてくるし、気温が高く蜜が一杯だと溶けた蜜でおぼれることもあるとのこと。

以上を一人手作業で行っているとのこと。巣脾一枚から10kg~15kgの蜜が採れるそうですが、10巣箱を守っているので重労働です。

なお、搾り出している時に様々な花の匂いや味が分かるが、色はビンに入れて初めて分かるそうです。

[6]蜂蜜の効用

そんな努力の末に生まれた蜂蜜には、ブドウ糖‣果糖の糖分。多種類のビタミン・ミネラルがバランス良く含まれていますし、100gで300キロカロリーもあり、脳のエネルギーに直接働きかけるパーフェクト食品ですと胸を張っておられます。思わずその通り!と声をかけたくなりました。

他にローヤルゼリーは美味しくないですが孵化後二週間の若蜂の頭の中から生み出されるもの、ミツロウはやはり若蜂から生み出される天然のロウ、ミツバチの生み出す付加価値は大きいです、と。

なかでも印象深い説明にプロポリスがありました。蜂蜜はミツバチ自身が食べるための餌、対してプロポリスは巣を保護するための物質で、植物の樹液とミツバチの唾液から作られ、害虫、病原菌をシャットアウトする働きがあるので、巣箱の中は清潔に保たれているそうです。

[7]ハチミツの味見と即時販売

講師は月曜日から金曜日はミツバチの世話をして、土曜日は近隣のマルシェに参加して蜂蜜の販売をされているとのことですが、講義終了後に丹精込めた非加熱の何種類もの蜂蜜を味見させていただきました。

藤岡講師が非加熱にこだわって作られているのは、酵素やビタミン類の栄養素が豊富に含まれているからで、蜂蜜の持つ殺菌力から雑菌などからの安全性は大丈夫だそうです。非加熱の蜂蜜を扱う業者は極度に少ないとのことで、貴重な蜂蜜なのだと感じました。

ミツバチの集めた蜂蜜は一つとして同じものはないし、同じような花でも一年ごと味が違うし、個性の強弱も様々というお話の通り、その違いを体感させていただきました。

その上で、会議室内で早速、即時販売していただき、受講者全員が数種類のハチミツを購入されていました。

なお、毎月第三水曜日は新宿NSビルの1階のマルシェに11:30~19:00まで出店されているそうですので関心のある方は、是非お越し願います。

藤岡講師には遠く千葉県の長生村からお越し頂いた上に、カラー印刷の分かりやすい資料を元に講義いただいただき、更に講師が搾られた豊かな味覚の蜂蜜を味見した上で購入までさせていたたぎ感謝に堪えません。本当に有難うございました。これからも養蜂のお取組みを応援しております。

次回は 12月22日(月) 13:30~間島邦夫講師にお迎えしての「古美術・骨董の華麗な世界」を開講いたします。どうぞ皆さま楽しみにお申込みをお待ちしております。

【 マナビ塾世話役 栗原麗子 記 】

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