マナビ塾:1月29日(木)国際行政書士の眼からみた外国人問題について学びました。

晴天が続く2026年1月29日、浜松からお越しいただいた米倉紀男国際行政書士を講師にお迎えしてマナビ塾を開催いたしました。

米倉講師は、特別研修生として日本生命にご入社されて後、幾多の拠点長生活を歴任後、ご自身の目標とされていた”60才定年を拠点長として”さらに年責達成で締めくくれたことを誇りに思っている、とニッコリ振り返られていました。

石巻生まれの講師が何ゆえに浜松に?それは「定年後には君の故郷に帰るからね」との配偶者様とのお約束だったそうですが、土地勘も地縁もない浜松で行政書士の資格取得から始められ今あるのはどうやら””あきらめない心”のようでした。資格取得に毎日10時間の勉強を目標に、3回目でようやく合格したのですよ、とこれまたニッコリ。

さて米倉講師の現在は、浜松駅前に建つ地上45階212mのアクトタワー10階に事務所を構える浜松国際行政書士法人の代表社員、特定行政書士として国際業務を主に9割近くを外国人の在留関係の業務を行っていらっしゃるそうです。ちなみに浜松市はブラジル人が集中して居住している場所とのこと。この1月12~16日には浜松市主催のインド人材マッチングイベントにデリーまでお出かけだったとのことで活動範囲の広さに皆さん吃驚。

そんな米倉講師には、在留外国人の現状と日本の抱える問題、外国人規制の動きと将来に向けての展望などをご講義いただきました。折しも衆議院議員選挙が間近に迫り、争点の一つでもある外国人の移民問題がテーマでしたが、国際行政書士業務を通じた生々しい事例や官庁の資料に基づく多面的なお話に、大いに引き込まれ、考えさせられる時間を持つことができました。

[1]行政書士の業務とは

行政書士の行える業務は3つ。「官公署に提出する書類の作成(1万種類以上)」・「権利義務に関する書類の作成、」・「事実証明に関する書類の作成」ですが、これらに関する相談・代理業務が中心で、法人設立支援から始まり、各種許認可申請、在留資格、相続・遺言、契約書作成など多岐にわたるそうです。

なかでも講師の経験した業務には、海外から外国人を呼ぶ申請や在留期間更新などの入管業務や帰化申請、企業の各種許認可申請、技能実習生の法的保護研修や登録支援機関の届出等々外国人支援事業やコンサルタント他、県庁・市役所・警察・陸運局に税務署などとの対応も含め、準備いただいた資料には10にも及ぶ業務が並んでおりました。そのエリアも静岡県に留まらず青森・新潟・神戸・東京・千葉・神奈川・埼玉等々広範囲。どこも足を運ぶしかないところなんですよ、と。やられている業務の困難さが伝わってまいります。

最近は外国人材にまつわることが中心になっているそうで、対応言語としては英語・インドネシア語・ベトナム語・カンボジア語・ネパール語・ヒンディー語・ベンガル語等々。伺っていて頭がクラクラしそうでしたが、それぞれ通訳を依頼するのでとワッハハと笑い飛ばされました。それにしても大変な仕事です。

[2]在留外国人の現状

法務省出入国在留管理庁(入管庁)のホームページ資料を基に在留外国人数や在留資格国籍・地域別内訳をみていきました。

a)在留外国人数

令和7年6月末時点での在留外国人数は395万人。日本人に対する外国人比率は 3.2%。これが2040年になると10%になると予測されているそうです。

令和6年末の国籍別上位では、中国90万人・ベトナム66万人・韓国40.9万人・フィリピン35万人・ネパール27.3万人・インドネシア23万人・ブラジル21.1万人・ミャンマー16万人・スリランカ7.3万人・台湾7.1万人の順と続きますが、対前年増加数のベスト5が、①ネパール4万人、②インドネシア3万人、③中国の2.7万人、④ベトナム2.6万人、⑤ミャンマー2.5万人なのには驚きました。

講師曰く、これからはインドが増えるのではなかろうかと。なんといっても人口14億人の世界一は大きいと。

この国籍別在留外国人数を都道府県別でみてみますと、そこには必ずしも同一比率分布を示さない、都道府県によって国籍別順位の違いがみられることが分かりました。例えばベトナム国籍が目立つ栃木県群馬県、中国国籍は東京都埼玉県神奈川県、静岡県では浜松市を中心にブラジル国籍といった具合です。

b)在留外国人の在留資格

在留外国人の在留資格は、「就労が認められるもの19種」・「身分・地位に基づくもの4種」・「就労の可否は指定される活動によるもの1種」・「就労が認められないもの5種」と29種類もあるそうです。

資格別にみますと「永住者93万人:23.6%」が一番多く、「技術・人文知識・国際業務を担う者45万人:11.6%」・「技能実習44万人:11.4&」・「留学43万人:11%」・「特定技能33万人:8.5%」と続いていきます。

c)外国人労働者数

これを外国人労働者数からみてみますと、令和6年で2,302,587人の方々が就労しているとなります。タイプ別には①就労目的で在留が認められる者(専門的・技術的分野等): 71.9万人[31.2%]、②身分に基づき在留する者(定住者・永住者・日本人の配偶者等) :62.9万人[27.3%]、③技能実習(技能移転を通じ開発途上への国際協力):47.1万人[20.4%]、④資格外活動(留学生のアルバイト等) :39.8万人[17.3%]、⑤特定活動(EPAに基づく看護師・介護福祉士候補やワーキングホリデーや建設・造船就労者等) :8.6万人[3.7%]となっています。

AIでは代替が難しい”人が必ず必要な分野”、それでいて日本人労働者が集まりにくい産業(介護・福祉・建設・農業・漁業・製造[中小・地方]・外食・宿泊)での人手不足等も相まって、外国人労働者は右肩上がりに大きく増加を示しています。

そこからさまざまな問題も派生し、近年社会問題化してきてもいますが講師は、「働く人の絶対数が足りない日本で国内人材だけでは、経済活動・社会インフラを維持できないという構造的問題が発生しているのであって、日本の産業は外国人材に頼らざるを得ない状況」をきちんと認識する必要があるとキッパリ。

[3]外国人労働者問題とは何か

外国人労働者増加に伴う問題としては、以下のようなものがあげられるとのことでした。

(1)言語・コミュニケーションの問題:日本語能力が十分でないことによる意思疎通の困難さは職場での指示誤解や安全確認不足、役所・病院・学校での説明の理解不足が、労災事故の増加や行政手続きの魅了に繋がっている。

(2)労働条件・人権の問題:長時間労働・最低賃金違反・在留資格と実態労働不一致等が外国人労働者の失踪・不法就労問題の増加に繋がっている。

(3)地域社会との摩擦(生活ルールの違いによる問題):文化・宗教的慣習の違いによるトラブル(ゴミ出し・騒音等)が発生している。

(4)外国人児童の指導体制の問題:日本語指導が追い付かず、保護者との連絡も困難なことにより、学力格差や不就学に繋がっている。

(5)医療保険制度の理解不足による問題:医療保険未加入者が多く、未払い医療費の発生に繋がっている。

(6)行政サービス体制の問題:相談窓口における多言語対応の必要性増大するも通訳確保出来ず。

(7)外国人への偏見の問題:一部報道が過度に報道され、ヘイトスピーチ等排他的感情が高まっている。

(8)企業側の理解不足の問題:在留資格の理解不足で不適切雇用や更新・変更手続きの遅延に繋がっている。

以上を踏まえて、講師は、外国人側の問題ではなく、制度・支援・受け入れ体制の未整備によるものが多いので、今後求められるのは、日本語教育・生活支援の充実・労働環境の適正化行政・企業・地域が連携した共生体制であり、「人出不足対策」と「社会統合政策」を同時に進める必要があるのではないかとのことでした。

[4]出身国別に起きている問題

外国人労働者の出身国別に起きている問題も例示してくださいました。

ベトナムは技能実習・特定技能者数が最も多く、来日に多額の借金を負っているケースが多いことから、借金返済のためより高収入に向けた失踪・資格外就労といった不法就労問題に発展しがち。インドネシアはイスラム教徒が多く、礼拝やハラールといった食事等宗教生活習慣の違いからくる問題が発生。ネパールは留学生が多く、アルバイト就労が多い。同国人ネットワークによる集合住宅の生活で地域住民とのトラブルが発生。

[5]クルド人問題

次に中東各国に住む、国家を持たない民族と言われるクルド人の日本在留者における問題については、前項の出身国別の問題とは別にして以下の説明がありました。

出身はほぼ全員がトルコ国籍で入国しており、(a)多くが難民申請中であるが、日本の難民認定のハードルの高さ故に、就労不可の「仮放免(退去強制令が出されるも収容を一時的に解除されている状態)」の在留資格となっている為、結果的に不法就労者が多くなっている問題と、(b)川口市周辺に多く住んでいることで地域摩擦(母国情勢に対するデモや路上集会での騒音や文化・生活習慣の違い等)の問題が生じているとのこと。

講師は、やや感情論になっていることを危惧し、日本の難民制度・在留管理制度や支援体制や地域共生政策の視点からの解決が必要であるとのことでした。

[6]受講者へのお願い

政府より「外国人の受け入れ・秩序ある強制社会実現に関する関係閣僚会議」で決定した総合的対応策が1月中に発表されるので、関心のある方はチェックして欲しいとの情報提供の後に、最後に受講者には以下の5点のお願いが伝えられました。

①これからも在留外国人が増えるのは現実と認識して欲しい。

②外国人の助けがなければ買い物もできない、介護も受けられなくなることを認識して欲しい。

③隣人の外国人にはトラブルのないように日本のマナーを教えてあげて欲しい。

④韓国・台湾では平均賃金を日本より高くしており、外国人労働者の奪い合いが始まっていることを認識して欲しい。

⑤美しい日本の素晴らしさと日本経済の発展により、真面目で優秀な外国人労働者を確保しなければならないことを認識して欲しい。

(注)資料の最後に、①外国人を雇用したい企業、②外国人と結婚したい人、③永住・帰化を希望している方、④在留資格の更新や在留資格の変更をしたい方がお知り合いにいましたら、「浜松国際行政書士法人」(053-528-7120)をご紹介して下さいとのPRも記載されていました。同法人のYouTube「ビザ・在留資格まるわかりチャンネル」もあるそうです。

 

「固いテーマなので皆さんに聞いていただけるのか」と心配くださいましたが、分かり易い資料や事例を出してのご講義に引き込まれた2時間でした。

また、一貫して外国人労働者問題を受け入れ側の問題として考えていくことが大事であるとの主張には、皆さん深く考えさせられたのではないでしょうか。

浜松から新幹線に乗ってお越し頂いた上に、20ページもの資料をご準備してご登壇頂いたことに心から御礼申し上げます。

なお、更に新たな法人を立ち上げ、外国人労働者に寄与したいと思っていますとの意気込みは頼もしく、若さは年齢ではないと痛感させられました。ますますのご発展を心から応援いたしております。

 

次回は 2月27日(金) 13:30~野口洋子講師にお迎えして「太田道灌って何者? ~道灌びいき歴10年、史跡探訪して解ったこと」をテーマに開講いたします。後半は千代田区日比谷図書文化館に場所を移した二本立て。どうぞ皆さま奮ってご参加、お申込みをお待ちしております。

【 マナビ塾世話役 栗原麗子 記 】

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