マナビ塾:10月31日(木)「トレッキングの魅力」について学びました。

ようやく秋色深まる感の10月31日、23名の受講者が喜楽室に集合下さいました。

10月のマナビ塾は日本だけでなく世界中をトレッキングされてきた松尾勲子講師をお迎えしての「81才!山女のつぶやき」でした。「キッカケとその気になれば誰でも行けるのよ、私の話なんて面白くないのではないかしら」とご本人が始まる前に仰られていましたが、沢山の写真やCD(BGM付スライドショー)を交えてのお話は、その行動力に圧倒され、幾つになっても始めようと思った時が学びの始まりなのだと改めて感じる時間となりました。

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1.「何歳からトレッキングに行っているの?」

講師がトレッキングに魅せられたのは何歳頃からなのでしょう。そんな素朴な問いに、実は高校2年の夏休み、槍ヶ岳に行かないか?と学校の先生に誘われ、クラスメート20名程と上高地の徳沢のテント場に運動会で使うテントを立てた昭和34年が始まりとのこと。

現在は頂上直下の山小屋から頂上まで鉄梯子と鎖があるので垂直的に登れるが、当時はなかったので頂上までの壁面を回りながら少しずつ登り、最後は頂上まで後2mのところにある鎖に捕まって、ヨレヨレになって登頂したそうです。しかし、その時の四方に広がる素晴らしい山々の景色に大感激したそうです。

ニッセイに入社後も山好きの先輩に連れられて北アルプス・谷川岳・東北の山々と次々に踏破していかれていた24才の時、お母さまが病に倒れ、勤務継続しながらの家事介護で登山は諦めたそうです。それ以来退職まで一度も山へは行かず、青春時代は終わりましたとのこと。「それが当り前の時代でしたね」とこともなげに語る講師とうなずく私たち受講者。

2.「定年後にトレッキングを再スタートしたキッカケは?」

入社した大宮支社を皮切りに幾多の転勤を繰り返し、その間には結婚、育児、そして配偶者の死等々を経験された講師は、2000年首都圏財務部を最後に39年間の会社生活に終止符を打ち、自らの第二の人生をスタートされたそうです。

退職を2000年としたのは覚えやすいからとカラカラ笑う講師に、次なる人生を楽しもうと能動的に考えられていた姿が明確に伝わってまいりました。

まずはTVで見ていたスイスの山を見たい!とマッターホルンへ。10名のツアーは楽しかったそうです。ひとり参加でも何の心配もなく、マッターホルンを堪能。「これなら海外も心配ないぞ!」と24年に亙る日本及び世界中の冠たる山をめぐるトレッキングの始まりになったとのこと。

帰国後マッターホルン参加者から槍ヶ岳・穂高縦走のお誘いがあり、国内の山旅の再開にも繋がっていったとのこと。凄いのは人との出会いを大切にされていることで、槍ヶ岳・穂高縦走の時のガイドさんとはその方が山小屋のオーナーになるまでご一緒に山めぐりをし、その方の紹介で次々と全国に個人的に頼めるガイドさんの輪が広がったとのお話にビックリです。

個人的ガイドはご自身の体力を考えつつ、自身のペースで歩けることを優先し、無理をしないためで、少しお金はかかるかもしれませんが長く山を続けられるポイントでもあるとのこと。

その結果、日本の百名山全座踏破、二百名山は199座踏破、3000m峰完登、四国八十八遍路道完歩、琵琶湖一周完歩、潮風トレール完歩、熊野古道完歩等々お聞きするだけでため息がでそうな日本全国津々浦々名だたるところに足を運ばれたそうです。

そして、それには全て写真が伴い、記録としての写真bookを作られていること。海外も同様に記録があり、CDがあり、ご自身の足で撮った写真をカレンダーにまで作られていて、そのパワーに驚くばかりでした。

3.「海外トレッキングの楽しみ方」

注意しているのは、海外に出かけるにあたって、折角だからとあちこち目的を何箇所も選ばず、ひとつに絞り集中したほうが楽しさは増しますとのこと。

講師はテントを使ってのトレッキングが多かったので、目的やシーズン、特に乾季、雨季などに注意したそうです。

楽しくトレッキングするには、なんといっても健康に気を付けること。山に入れば高い低いに関わらず、海外では簡単に医者にかかれません。簡単な薬を持参、口に入れる食べ物には特に注意をされたそうです。生ものは果物でも避け、必ず火を通したものを、水はペットボトルにするか浄化器持参で自身で浄化する等されたとのこと。

簡易浄化器を見せて下さいましたが、それは山だけではなく、災害時の備えとしても有効だそうで、マヨネーズ入れのような形態でした。

また標高4000mを越すと高山病のリスクがあるので頭痛や吐き気を感じたらできるだけ早く標高を下げることが肝要だそうです。海外ツアーで同行の方が高山病を発症し、亡くなられた話もして下さいました。

高い山を歩く際の呼吸は、口で吐き、鼻で息を吸う。ゆっくりと息をし、歩きもゆっくり休みながら。そして同行の方々と離れないように歩くのも大事だそうです。

講師は高山病にも強く、気を付けていたせいか24年間食べ物にも当たったことはないそうです。皆さん「う~ん」と唸ってしまいました。

4.「行って面白かったところ、思い出すところ」

ここからはパワーポイントを使い海外の訪れた山々、その時の思い出の風景、動物や植物、出合った人々の写真をみながら説明いただきましたが、アメリカ大陸からアフリカ大陸、ヨーロッパ、アジア各国の山々と全世界に渡っていて、その数の多さに驚くとともに、

どこも長期間(10日間はザラ)、脚を使って(1日5~6時間)の山旅だというのですから驚きです。

特に8000m級の14座全山を自身の脚を使って傍近くから撮影したというのには脱帽でした。

<トレッキングで訪れたところ>

北アメリカ:アラスカ州デナリ(旧マッキンリー)、カナダイエローナイフ、ホワイトホース、アイスロード

中米:ガテマラ、コスタリカの自然林・鳥自然巡り、マヤやメキシコの遺跡

南米:パタゴニアトレッキング、インカトレイル(マチュピュチュ)、ギアナ高地トレッキング、ガラパゴス探索、ウユニ塩湖⇒ギアナ高地はヘリコプターで頂上へ運んでくれたが下山は徒歩で2日かかるとのこと。

オーストラリア方面:エアーズロック、タスマニアトレッキング、ニュージランドトレッキング

アフリカ大陸:キリマンジャロ登山、ツブカル登山、シナイ山登山、カナリア諸島テイデ山登山⇒5895mのキリマンジャロは、ツアー参加者10名中4名しか完登出来ず、女性は講師だけだったとのこと。

ヨーロッパ:アルプスの山々(モンブラン・マッターホルン等)のトレッキング、ルーマニアのカパナ山、クロアチアのスルジ山、ノルウェーのガルホピッケン登山、トルコのカッパドキアトレッキング等々

アジア:ネパール・パキスタン・中国・ブータンの山々(エベレスト街道~アンナプルナ内院・マナスル展望・ランタン谷・ムスタンをトレッキング、フンザ名峰展望・ナンガルパルパット展望・K2展望等々)⇒パキスタンの6050mのミングリク・サール山の完登が講師の最高の高さで印象深いとのことでした。

また、素晴らしい山々の写真だけでなく、パキスタンのシムシャール村のワヒ族のクッチ(人と家畜[ヤク・ヤギ・羊]の夏の放牧地“パミール草原”への大移動のこと)等のCD(BGM付のスライドショー)はNHKさながらの出来栄えで、4000mを超える山での伝統的な暮らしぶりを紹介頂きました。⇒CDはご自分のPCで写真を加工編集されたとのことで更にビックリ!

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あっと言う間の二時間でしたが、81才の講師に私たちも勇気づけられパワーを頂き、青春は年齢ではないことを実感させて頂いた講演となりました。有難うございました。

なお、最後に講師が「定年後から山に魅かれて24年、そろそろ終わりにしようかと考えていたが、今回、マナビ塾で自分の体験を熱心に聞いていただいて大変嬉しかったので、やっぱり続ける気に変わって来た。」とのお話があり、私たちも嬉しくなりました。

 

次回は 11月15日(金) 13:30~ 「健康体操~自彊(ジキョウ)術の手ほどき」です。少し身体を動かしてみたいと思っておりますのでお楽しみに。大勢の皆様のご参加をお待ちしています。実際に指導員の実技指導がありますので、動きやすい服装で、①バスタオル(実技で使います)・タオル(汗拭き用)と②水分補給用のペットボトルを持参願います。

【 マナビ塾世話役 栗原麗子 記 】

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