マナビ塾:12月22日(月)古美術・骨董について学びました。

巳から午へ年が改まる直前12月22日(月)のマナビ塾は、台東区東上野に古美術店「古美術(ANTIEQUE)古陶菊」を構えて15年の間島邦夫氏が講師として、跡継ぎの息子さんを助手(ビデオプロジェクターによるスライド操作担当)に帯同されてご登壇いただきました。

講師が収集された古陶の写真やお持ちいただいた古陶を拝見しながら、古い焼き物に惹かれ、コツコツと収集、ついにニッセイ定年後のセカンドステージとして開業するまでに至ったお話を伺いつつ、古陶の醸し出すいにしえの世界を覗かせていただきました。

(1)古い焼き物収集の原点は古伊万里のお皿

講師はご自身を「古い焼き物の水先案内人」と紹介されていましたが、古い焼き物の収集のきっかけは遥か昔、ニッセイに入社された昭和46年に遡るそうです。

大阪豊中研修所での50日間の入社後研修中に休みを利用して京都、奈良、大阪の骨董街を歩きまわり、古伊万里のお皿を購入したところから始まります。もちろん安価でしたし、お土産気分でしたと振り返っておられましたが、記念すべきお皿・古伊万里南蛮人船上文皿をスライドにて見せていただきました。

何故に骨董に興味を持ったのか?その背景には中・高校と通った港区芝公園近くに当時骨董街であった巴町(現神谷町)があり、その通りに住む同級生宅の隣が骨董店。並べられた姫皿等を見て古伊万里など古い陶器への興味が芽生えていたのだと思いますとのこと。

巴町の骨董街は東京オリンピック前の道路拡張で多くが青山通りに移転、そこには「からくさ」(「開運!なんでも鑑定団」で有名な中島誠之助さんのお店)もあったとの話等々が差し込まれていきます。

(2)古い焼き物収集への発火点は28歳の大病

講師は千代田特別養成所に配属後、特養ではめったに見かけない日生クラブ員資格を取得する等大活躍、法人営業開拓に精を出す傍ら、都内の骨董街を眺め歩いていたそうですが、28歳の時、急性肝炎で20日間もの入院生活を余技なくされたそうです。

ひたすら安静に動くことも制限される毎日、病室を眺めれば急性から慢性肝炎へ移行した再入院の人ばかり、なんと6/8人が再入院の方々でした。爾来人生観が大きく変わり、「人生を楽しく過ごすこと」「好きなことにお金を使うこと」を決意。独身だったこともあり古い焼き物収集に夢中になっていったのでした。そう古い焼き物への情熱に火がついたというところでしょうか。転機でした。

(3)良き骨董店との出会い

骨董、古美術は信頼のできる実績とそれなりの歴史を持つ店選びが大事ですが、講師は30歳ころ東京第二特別養成所の支部長時代に品川区旗の台で骨董店(辻商店)を発見、江戸時代の古伊万里に詳しい同い年の店主に巡り合い、約5年間、月1~2回通っては気に入ったものを購入したそうです。その他自身の目で良い焼き物を!と出会い求めて他の店巡りも欠かさなかったそうです。

そんな当時を振り返りつつ、古伊万里の魚文皿や色絵女官唐子文小皿や色絵姫皿や等講師収集の数々をホワイトボードに写し出していただき、更にはその後の華やかな柿右衛門の色絵鳳凰文大皿までお話が広がっていきました。

(4)土ものや茶道具・茶釜との出会い

講師曰く、旗の台の骨董店では、丹波焼の大壺という土ものとの出会いもあったそうですが、その後瀬戸・常滑・越前・信楽・丹波・備前の“六古窯”と言われる窯の大壺収集に発展、10点ほどでスペース問題から収集断念したそうです。

古丹波大壺や古常滑大壺のスライドを見せていただきました。

その後、土ものへの関心は茶碗へと広がり、折しも32歳のとき越谷営業部勤務時にお茶の先生と出会い、茶道の稽古を始めたそうです。

そして錆びた茶釜との出会いのお話になりました。解体業者から1万円で購入した茶釜が、桃山時代の京都の辻与次郎作「大阿弥陀堂釜」に似ていることに気づいたそうですが、茶釜の蓋は時代と合っていなかったのと底が錆びていたとのこと。そこで室町時代の10万円の「古銅水指」を購入してその蓋を茶釜の蓋とした上で、底の修理は京都の名茶釜師に依頼して16万円で修復してもらったとのこと。計27万円かかりましたが、お気に入りの一品になりましたとのこと。

スライドにて辻与次郎作「大阿弥陀堂釜」と「古銅水指」と修復した「大阿弥陀堂釜」を見せていただきましたが確かに2つの茶釜はそっくりです。修復した「大阿弥陀堂釜」は大きくて展示スペースがなく、現在お店の二階倉庫に保管中とのことでした。

(5)広がるコレクション

講師のコレクションは茶道具から縄文土器、そして漆器へと広がっていきます。

漆器は主に盛岡支社勤務時代に収集したそうです。東北新幹線の座席に配布されていた雑誌「トランヴェール」の“北東北が育ん骨董の旅特集”で、講師が所有する「南部箔椀」や「浄法寺塗小皿」等が記事に掲載されたとのこと。実物も持参されていて見せていただきました。

このように多くのコレクションが出来たのも長らく独身で単身生活であったことから収納スペースが確保できたことが大きく、結婚後の自宅購入後もコレクション用の部屋やベランダを収納用スペースとし、ついにはコレクション収納用にマンション購入までされたと振り返っておられました。

とはいえ、60歳で北海道で定年を迎えたとき、そのコレクションが大きな悩みになったそうです。「骨董品を移動して、その後どうするのか」と配偶者から問われたそうです。その時点ではまさか骨董店を開業するなどとは思っていなかったと感慨しきり。

(6)退職後の開業の決意からセカンドステージへ

講師は再雇用制度使ってアソシエイトとして上野支社勤務をした後、61歳でコレクションを販売するために古美術店「古美術(ANTIQUE)古陶菊」を開業することを決意されたそうです。

古美術商の先輩からは「素人が始めても3年で多くが廃業する」と助言されたそうですが、コレクターは売りたがらず半面見せたがりといやらしいもの。ならば手持ちのコレクションを全部売る!の覚悟で行こうとばかりに次なるステージに踏み込んで15年以上経過しましたとのこと。

第二の人生を楽しみ、ワクワクする気持ちを大切にしながら、長年のコレクション経験を活かし、古い焼き物のコンシェルジュ(水先案内人)として、できる限りお安く提供を心掛けてきましたが、続けてこられたのもお客さまの支援があってこそと感謝していますとのことです。

古伊万里から始めて現在最も好きなのは桃山時代の古唐津という講師、古伊万里の絵皿を一枚の絵のように飾ったり、古い花瓶に季節の花を生けたり、酒杯でお酒を飲んだり、古い焼き物を生活に取り入れ人生を豊かにワクワクを見つける、日常で楽しんで欲しいと結んでくださいました。

配布資料を作成いただき、様々なコレクションをスライドで見せていただき、また手に取るのもはばかられるような由緒ある品(「長次郎黒楽茶碗」や「千利休の茶杓“銘黒づる”」等)をご持参いただき、それらを元にした深い造詣からのご講義は、私たち受講者17名をつかの間の“古美術・骨董の世界”に誘い、豊かな気持ちにさせていただきました。

また講義終了後もご持参いただいた沢山の世界の古美術・骨董の情報誌「小さな蕾」は受講者の皆さんが手に取って興味深く読まれていました。至れり尽くせりのご配慮本当にありがとうございます。心から御礼申し上げます。

「古美術(ANTIQUE)古陶菊」は、台東区東上野6-1-5-1(地下鉄銀座線「稲荷町駅」から徒歩3分)にあります。 営業時間は11時~18時(月‣火定休)です。初心者でも講師と息子さんが親切・丁寧に応対いただけますので是非とも興味のある方はお出かけください。

 

次回は 1月29日(木)13:30~米倉紀男講師にお迎えして「65歳からの起業~行政書士業務で知った外国人人材に頼る我が国の現状」をテーマに開講いたします。興味深くて旬な話題、どうぞ皆さま奮ってご参加、お申込みをお待ちしております。

【 マナビ塾世話役 栗原麗子 記 】

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